やっと重い腰が上がりつつある?
近年、時代の流れによる働き方改革、そして過労死レベルの残業問題など、社会問題になっていますよね。そんな時代の流れに逆らえないのか、建設業界でもやっと重い腰を上げつつあります。
大手ゼネコンでは、試験的に「週休2日制を導入してみよう」とか(機能するかは疑問がある)、ITを駆使して工程の効率化を図ろう(大きな現場に行けばiPad片手に打合せをしている現場管理者も増えています)とか、なんとかして人材を確保していくための対策として「時代の波に乗っていこう!」という空気が感じられます。
建設業は何かと悪しきイメージを持たれることが多々あります。
先日、煽り運転して高速道路で車を停めさせて死亡事故を引き起こしたニュースがありました。かなり大きな問題になっていますが、あの煽った人の職業は「建設作業員」でした。
そういったことをメディアが植えつけているのも事実ですが、そういったニュースが取り上げられるたびに、建設業界のイメージが悪くなるばかりです。
他にも仕事に対しては「キツイ」「汚い」「危険」の「3K」とかですね。この3Kという悪しきイメージをなんとか払拭すべく、さまざまな取り組みがされています。
そこで「3Kの定義を変えて行こう!」ということで、誰が言い出しのかはわかりませんが、「新3K」というものが打ち出されています。
新3Kとは?
昨今、3Kに加えて「給与が安い」ということで「4K」とも言われています(テレビの画質じゃないですよ)。
そこで「そんなことではいつまで経っても人材が確保できない(特に若者)!」ということで、新3Kを掲げたのが、「給与」「休暇」「希望」という3つのKです。
つまり、「給与を上げて、休みを増やして、希望の持てる仕事にして行こう!」ということです。
これが実現できるかどうかはわかりませんが、では果たして「新3K」で「若手人材を確保できるでしょうか?」というのが今回のテーマです。
若手人材を確保できない2つの要因
ハッキリ言って、私から言わせてもらえれば「今ごろ??」とツッコミを入れたくなるくらいです。
他の業界はもっと先手先手を打っています。「できない」を言い訳にするのは簡単です。他の業界は「できない」から「やってみよう」という気概で、現代の問題に真っ向に立ち向かっています。
しかし、建設業界はあまりにも人材というリソースを軽視しすぎました。その結果、「これはマズいかもしれない…」という窮地に立たされているわけです。というより、自覚がまだまだ足りません。
「周りがやりだしたからウチらもやっていこう」ではもう遅いんです。もっとアッと驚くようなことを率先してやらなければインパクトを与えることはできません。
それが「若手人材を確保できない2つの要因」の1つ目。そしてもう1つ。これは大事なことなんですが…、
それは、、
給与を上げても、休みを増やしても、希望が持てたとしても、、人材を確保できるとは限らないということです。
給与を上げたら人材を確保できるだろう、休みを増やしたら人材を確保できるだろう、希望を与えたら人材を確保できるだろう、それらは自分視点の捉え方です。
「給与が安いなぁ、休みが少ないなぁ、将来性がないなぁ…」そういった嘆きは建設業界で働いてきた人の言い分です。
極論、これからその業界で仕事をしようと思う人には関係のない話しです。なぜならその業界の仕事を経験していないからです。
経験しないものは実感できません。逆に、「給与を上げれるようにこれから努力していきます。だってウチの業界は給与が安いから」とマイナスイメージを露呈させ相手に植え付けてしまっているのです。
つまり、「給与」「休み」「希望」の新3Kは業界人からの希望であって、それら3つを実現したとしても、必ずしも人材を確保できるとは限らないのです。
条件面は差別化にならない
ちなみに、給与を改善していこうとか、休みを増やしていこうとか、そういった取り組みは、他の業界で既にやっています。
待遇を改善したらからと言っても、それらはスタートラインに過ぎません。
もっと他に給料のいい業界があったら?もっと休みの多い業界があったら?もっと希望の持てるような仕事があったらどうでしょうか?
新3Kは差別化にはなりませんしアピールをしたところで焼け石に水かもしれないのです。
そんな後手のやり方は、人材・労働市場から見向きもされず、既に退場させられているのです。だったら他の切り口からアピールしていく必要があるのではないかと思うわけです。
若者を獲得するための新3K
さて、そこで私が提言する「藤村式3K」なるものを考えました。
これは今まで多くの若者を見てきた中で考えついたものです。もちろん新3Kを否定するものではありません。
ターゲットや層によっては、お金が欲しいし、休みが欲しいし、希望も欲しいと思うかもしれません。しかしこれには段階があるのです。
特に若者に対しては、「これから建設業界で働いてみようかな…」と思ってくれるようにするためには、別の新3Kを打ち出さなければなりません。
ではどんな3Kを打ち出しか?と言うと、、
「クリーン」「好奇心」「クリエイティブ」の3つです。
建設業界のイメージをクリーンにする。そして、建設業という技術が必要な仕事に好奇心を持ってもらえるようなアプローチをする。
そして最後に単純労働ではなく、「クリエイティブな仕事だ!」という位置づけをしていく。
建設業界はこの3つが不足しているような気がします。もっとアピールできるのにも関わらず…です。
「給与」「休み」「希望」を提唱するのはその後からでも遅くないと私は感じています。
相手の意識を知るということ
「自分がこう思うからこうだ!」という考えは大きな障害となります。なぜなら自分の感覚と相手の感覚は必ずしも同じではないからです。
とりわけ若者を確保していこうと思うのであれば、価値観の開きがあることはあなたもご承知のはずです。
「仕事はこうでなければならない!」そういった価値観を押し付けるのは危険です。
「給与」「休み」「希望」の3Kを本当に望んでいるのか?相手の本当の望みは何なのか?
これらを知る努力をしなければ、ずっと人材不足に悩まされることになるでしょう。
相手の「仕事に対する意識を知る」ということ。これが人材を獲得していくための基本中の基本。
今回はそれをお伝えしたかったのです。