ある程度の規模の会社では、経営者は、部下のマネジメントを管理職に任せているかと思います。

さて部下をマネジメントする管理職の役割とは一体何でしょうか?

アナタは部下をどのようにマネジメントしたいですか?

 

少し物語調(フィクション風)に、とある会社のお話しをします。

部下を指導する本質

 

その会社の大きな課題は人手不足です。

仕事の依頼はあるのに、人手不足により売上が伸び悩んでおりました。

会社の将来も考え、若い人材の獲得に注力することを決め、

「経験の有無は問わない。最初は荷物運びでもいいから若手を獲得し育てたい。」

そんな想いで、20歳代の若手未経験者を中心に人材投資をすることに決めました。

そしてコンサルタントも活用しながら精力的に活動をし、数年がかりで多数の若手を獲得することに成功しました。

次に、入社してきた若者を育てるべく、仕事をバリバリこなしていたAを管理職に昇進させ、部下のマネジメントをするよう任命しました。

しかし、その期待も束の間、苦労して獲得した若手が次々と退職して行くのです。

最初は「3人に2人は辞めていく時代だから…」

そう思っていたのですが、人を獲得すればそれ以上に若者が辞めていく…。

経営者の顔色が変わり始めた頃には既に負のスパイラルに陥っていたのです。

管理職に昇進させたAが、「オレの天下が来た!」と天狗になり、オレ流を強制させていたのです。

ここは学校と違うんだ!
社会人としての精神がなっとらん!
職人業とは厳しいのだ!
命を懸けて仕事をしろ!
俺が若い時はこんな生易しいモノじゃなかった!!

まるで軍隊のような精神論を唱えてはビジバシと指導していたのです。

暴力が原因で労働トラブルになったこともあります。

昔の学校では、先生から暴力を振るわれることは日常茶飯事でした。

それが男としての証しでもあり、生徒への愛情であったかもしれません。

しかし現在はどうでしょう?

先生が生徒に暴力を振るうものなら大問題になります。

そういう環境で育ってきた若者は、旧態依然の指導方針にもちろんビックリします。

またこの仕事がどうしてもやりたくて会社の門を叩いたのではありません。

「なんとなく」や、勧められて「ちょっと興味を持っから挑戦してみよう!」という意識の人たちばかりです。

入社時は希望に溢れていた…。そんな若者からは笑顔が無くなりピリピリとした空気だけが流れ、

1人2人と会社から姿を消して行ったのです。

そして卒業生を紹介してくれた学校側も「あの会社は…」と警戒され、もう紹介されなくなってしまいました。

現在の従業員数は、若手の獲得に乗り出した前の状態にまで戻ってしまっています。

「今まで何をしていたのかワカラン!!」

経営者は頭を悩ませるばかりでした…。

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会社にもよりますが、中小企業にお勤めの管理職の方は、現役時代に第一線で活躍してきた方が多いのではないでしょうか。

現在の若者を、管理職の方が若かれし修行してきた時代とリンクさせながら指導している人が多いように思います。

「社会人として、仕事のプロとしてこうであるべき!」という何か型にはまった固定概念にとらわれ、本質が見えていないようにも思います。

経営者が、第一線で活躍してきたノウハウを引き継いで欲しいというのは、「君の精神論を部下に引き継げ」という意味ではありません。

いかに部下が成長し、会社の利益に貢献できる人材に育て上げるか?その為に管理職として何をすべきなのか?に焦点を当てるべきなのです。

厳しく指導するからこそ優秀な人材になる…。そういう意見もありますが、人が辞めてしまっては本末転倒です。

何度も申し上げておりますが、価値観は時代と共に変化して行きます。そしてその価値観が良いと悪いとか我々個人で判断すべきものではないと思います。

時代の価値観というものを受け止め、それに沿って行かなければ取り残されるだけです。

これだけは断言できます。

価値観は押し付ければ押し付けるほど反発する

ということです。

価値観を受け入れてもらえる人間であるのか?
価値観を受け入れてもらえるにはどうしたらいいのか?

をよく考える必要性があります。

部下をマネジメントする役割の管理職であれば、経営者の期待に応えれなければいけないのです。

何でオレが部下に気を使わないといけないのか?
オレの指導に付いてこれない若者が悪い!世の中が悪い!

そう思っている方は注意してください。

なぜそこまで言うのか…?

会社の経営が傾きかけると、生産性が低く給与の高い管理職は、真っ先にリストラの対象になってしまうという状況になりかねませんから…。