私は現在、50年ほど前に開発されたと言われる山手の住宅街に住んでいます。
チラホラ建て替えが進んでいる中、まだまだ築40年以上経過する大きな住宅が建ち並んでいるのですが、
ひと昔前の「高級住宅街」として人気があったようです。
以前からよく、自宅のポストに
「耐震診断を無料で行います!」
というチラシが入っているのを目にします。
行政が耐震診断の補助をしているので、いかにも行政ぽいニュアンスのチラシなのですが、
「いかにもあやしい…」としか言いようのない名前が記してあります。
ちなみに行政からチラシでポスティングをして案内を送ることはないそうです。
私は普段仕事で留守がちなので、近所のご年配方のお話しを聞くと、
「近々大きな地震がやってくるので耐震診断と改修のご案内に来ました」
とか、
「近くで耐震工事をしていたらお宅の屋根の瓦がズレているのを発見しました。危険です!今すぐ屋根を上らせてください」
とか、
「近所でシロアリが出たのでお宅も危ない!」
など、
ご高齢者を狙った、
まだまだ「あやしい!」と
言わざるを得ない業者が徘徊しているようです。
この「耐震診断」について、先述のように、行政も補助等の支援を行っているのですが、
「昭和56年の5月31日までに建てられたものか否か」
が大きな分かれ目になっています。
ご存知かもしれませんが、ようは昭和56年6月1日に建築基準法が改正され、新しい耐震基準になったわけです。
ですので
「昭和56年5月31日までに建てられた住宅等の建物は、地震に対する倒壊の恐れがあるから耐震診断し、適査改修を行い地震に備えてくださいね!」
ということなのです。
ちなみに私の家は昭和56年5月31日以降の建物なので、耐震診断を受けれる対象となっていません。
しかし!です。
昭和56年以降、特にバブル期に建てられた住宅等(特に木造建築)には、違反建築物がかなり散見されます。
当時は質より量の時代。
建築確認申請とは異なる、行政に申請した図面と違った建物を敷地に目いっぱい建てて、本来行政から建物完成時に受けるはずの完了検査を受けず、建築基準法を逸脱した建物が当たり前のように蔓延していたはずです。
それが現在、コンプライアンスに適合しない違反建築物として、資産価値を大きく下げる原因となっています。
(当時の建築基準法に沿って建てた建物であったが、定期的に改正されてきた今の建築基準法には適合しない建物を「既存不適格建築物」と言います。)
そんな建物が昭和56年以降の耐震基準を満たして建てていたのか…。
そう思えば、
満たしているとは言い難い!
と私は判断しています。
そして一時期社会問題になった「欠陥住宅」。
「人の命の危険があるのにもかかわらず、自分の利益を優先する…」
一部ではあると思いますが、当時はそんな風潮が蔓延していたと聞きます。
これが建設業が「ずさんだ」と言われる要因のひとつです。
また、そんな違反建築物に金融機関はジャブジャブと融資し、当時の行政も見て見ぬふりをしていたはずです。
耐震偽造の姉歯事件も記憶に新しいところです。
それが現在、手のひらを返したように「違反建築物は害だ」と言わんばかりの対応をしています。
地震が来た時に倒壊するかも…
そんな危険が潜んだ建物が全国にどれだけあるか…。
建設業界に身を置いているのならまだしも、一般住人は専門知識を持っていません。
昭和56年という基準を設けず、耐震診断はもっと広く普及させるべきなのです。